腰痛予防に役立つ3つの方法 

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今回は、腰痛予防に役立つ方法は何かということを解説します。
日本整形外科学会・日本腰痛学会監修の「腰痛診療ガイドライン2019」(現時点で最新版、以下「ガイドライン」と記載)に基づいて、述べていきたいと思います。

腰痛予防に役立つ方法はコレ

いきなりですが、腰痛予防に役立つ方法は次の通りです。

  • 運動療法
  • 認知行動療法
  • 環境の改善

この3つは「ガイドライン」において、エビデンス(医学的根拠)があり、かつ推奨できることとして挙げられています。

運動療法

推奨度:1(行うことを強く推奨) エビデンスの強さ:B(効果の推定値に中程度の確信あり)

他の健康上の諸問題と同様に、適切な運動が腰痛予防に役立つ方法のひとつであるといえるようです。

ガイドラインでは、妊娠中の腰痛予防についても言及されており、妊娠中期の適度な運動が、腰痛・でん部痛の発生率を低下させるほか、うつ症状の発生を抑制する可能性があると示されています。

認知行動療法

推奨度:2(行うことを弱く推奨) エビデンスの強さ:B(効果の推定値に中程度の確信あり)

認知行動療法とは…

認知療法・認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。

認知行動療法とは-国立精神・神経医療研究センター

痛みに伴う不安や恐怖が脳に影響を及ぼすことで、慢性痛を引き起こす場合があります。
認知行動療法は近年、このような慢性痛に対する治療法として脚光をあびているものの一つです。

今回のガイドラインにおいても本療法は、腰痛の慢性化予防に有用であるとされています。

ただし認知行動療法については、個人が単独で取り組むことが現時点では難しいものです。対応している医療機関の数もまだ少ないのが現状であり、今後の充実が期待されます。

環境の改善

推奨度:2(行うことを弱く推奨) エビデンスの強さ:B(効果の推定値に中程度の確信あり)

「労働による腰痛」=「職業性腰痛」の予防には、適切な運動とともに
持ち上げ器具の使用や作業場の高さを調整するなど職場環境を改善することが有用であるとされています。

重いものを持ち上げるなど、腰に負担がかかるお仕事の方は、一度改善できる部分がないか見直してみるのも良いでしょう。

役立つと言えない方法は?

これまで述べてきたように、腰痛予防に役立つ方法がある一方で、役立つとは言えなかったものもあるようです。

  • コルセット
  • インソール
    これら2点については次のように記載されています。

コルセット

コルセットについては、複数の学術的分析をもとに、腰痛予防については直接的な効果はないとされています。

インソール

インソールについても、腰痛予防に対する効果はないというレビューがあることから、ガイドラインでは推奨できないとしています。

まとめ

今回は、腰痛予防に役立つ方法について、「腰痛診療ガイドライン」の内容を基に解説してきました。

残念ながら、コルセットとインソールについては、役立つとは言えないという記載となっていました。

ただし、インソールについては目的(姿勢保持目的か衝撃吸収目的か)がさまざまであり、その品質も物によって全く異なります。そのため、物によっては腰痛予防に間接的に役立つものもあるのではと、個人的には思っています。

今回のガイドラインは、エビデンス(医学的根拠)考慮した上で、委員の投票結果により推奨度を決定するというスタンスになっています。
このため、今後の学術研究の進展によっては推奨度も変化していくものであり、絶対的なものではないという点は念頭に置いておくべきかと思います。