整体・整骨の施術ポイントを解説 その2:手 

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当院では「カラダ全体を細かくていねいにケアすること」をコンセプトに整体・整骨を行っています。
足の先からあたまのてっぺんまで施術していくわけですが、その施術の一手一手全てに意味があり、何らかの意図をもって行っています。

『当院の整体・整骨の施術ポイント』について解説するシリーズ。
2回目は「手」について解説していきます。

ほとんどの方がそう思ってはいませんが、手や指は、人によって硬さや形状が大きく異なるカラダの部分のひとつです。

また、主に上半身の症状に関連することもあり、しっかりとケアしていきたい部分でもあります。

今回は、そんな「手」について解説していきたいと思います。

手の構造について簡単に…

手の骨の構造

上のイラストを見てもらうとわかりますが、手には多くの骨があります。

手のひらの部分に、5つの中手骨、その下に総称して「手根骨」と総称される8個の骨。
親指から小指まで、指の部分の骨が計14個。

このように片方の手で27個の骨があります。
人体の骨の数はおよそ206個あるので、両手を合わせると、体の約1/4の骨が手にあることになります。

そして、骨と骨が合う部分は関節を作ります。
片手でおよそ30近い関節があります。
その関節を動かすために、大小様々な筋肉が手に付いています。

さらに数多くある関節をつないでいるのが靭帯です。
手のひらは、体のなかで最も靭帯が密集しているところのひとつとなっています。

このように、手には多くの骨・関節そして靭帯があります。

人によって全然違う?!手の状態

手の状態は人によって、実は全然異なります。

これらは、本人では気づかないことがほとんどです。
ですが、他人が触れることで、触れている人は以下のような個人差を感じ取ることができます。

指関節の曲げ伸ばしやすさ

どの指のどの関節も同じように曲げ伸ばしができることが理想です。
しかしながら、一部の指の関節が伸びにくい、または曲げにくいという方がいます。

指の捻じれ

指の付け根から指先まで、同じようなラインで骨がつながっていることが理想です。
しかしながら、途中の関節で一部の指があっちを向いたりこっちを向いたり、捻じれている方がいます。

手根骨の形状と硬さ

手のひらの付け根にある手根骨は、軽くアーチを描いていて、上から押すと程よい弾力があるのが理想です。
しかしながら、アーチが強すぎる方、弾力性がなく硬くなっている方がいます。

手の状態がカラダに与える影響

最初に書いたように、手には数多くの骨・関節・筋肉・靭帯があります。
これらが多数連携することにより、人間の手は、他の動物にはできない繊細な手の動きが可能になっています。

一方で、手のある部分が硬くなったり、捻じれたりして動きが悪くなると、この繊細な動きの連携に影響が及びます。
動きが悪い部分をカバーしようと、例えば肘や肩、肩甲骨など他の部分が本来と異なる動きをし、余計な負担や緊張生じることもあります。
その結果、手の状態がカラダの他の部分の状態に良くない影響を与える場合もあると思われます。

手の状態と症状

手の状態はカラダの様々な部分に影響を与えうると、僕自身は考えていますが、特に以下のような症状の方は、手の状態が良くないことが多いように感じます。

・肘周辺の不調 ・肩周辺の不調 ・首の不調 ・首や肩のこり ・自律神経の不調

手の状態=カラダの健康度

当院で整骨・整体を行うにあたっては、様々な部分を検査して施術していきます。
その中でも、全ての慢性的な症状に対して行う検査の一つとして、手の硬さ・足の硬さのチェックがあります。

これは僕の持論ですが、手の状態・足の状態はその方の健康度の指標の一つとなります。

手の硬い方、足の硬い方はそうでない人に比べて、症状の改善に時間のかかることが多くなるように僕自身は感じています。

手を整体・整骨するメリット

ここまで

  • 手の状態が人によって全然異なること
  • 手の状態がカラダに様々な影響を及ぼしうること
    を解説してきました。

ここからは手を整骨・整体するメリットについて、当院なりの概念を解説していきたいと思います。

動作の改善

上で述べたように、手の動きの悪さは連動して動くカラダの他の部分に、無理な動作を強いる原因となります。

整体・整骨を行って手の動きを改善することで、手の動きをより自然な状態に近づけることができます
そうすることにより、不自然な動作でかかっていた他の部分の負担を軽くすることができます

筋膜刺激により上半身が緩む

人体には複数の筋肉の表面を包み込んでいる『筋膜』という膜があります。
筋肉は、筋膜といういわばストッキングまたはボディスーツ的なもので長く帯状に包み込まれています。

このように、いくつもの筋肉が筋膜で包まれて帯状につながっている。
この帯状を「ライン」と呼びますが、人体にはこのような「ライン」が複数あります。

そのラインの1つにアームライン(AL)と呼ばれるラインがあります。

アーム・ライン

引用:「アナトミートレイン」P168 医学書院

上記の図のように、人間のカラダは指先から胸部・背部にかけて『筋膜』でつながっています。(図のブルーの部分が筋膜のつながり)

このことから、指や手の筋膜に適切な刺激を与えることが、腕や肩や背中、胸部を緩めることに繋がります

脳への刺激

https://www.flickr.com/photos/43997732@N08/

上の画像は「ペンフィールドのホムンクルス人形」と呼ばれるものです。

体の各部分に対応する脳の領域を、その面積に比例して表した物です。
人形で大きくなっている部分ほど、そこに関連する脳の面積も広いということを示しています。

これを見てもわかるように、手と関係する脳の領域は、脳のなかでもかなり大きな割合を占めていることがわかります。

このように、手への施術は感覚神経を通じて、脳の広範囲に刺激を与えることになります
こういった脳への刺激がカラダにとって有益な刺激となるのではないかと考えています。

まとめ

人間の手の構造はとても良くできていると思います。
もしも、人類の祖先の手の骨や筋肉の数が現在の半分だったとしたら。

おそらく、人類は現在ほど上手に道具を使えず、脳も大きく進化しなかったでしょう。
結果として、世の中も現在のようにはならなかったものと思われます。

このように、人類の進化にとってとても有用だった手の構造ですが、繊細であるが故にデリケートで、カラダの他の部分への影響も大きいところです。

こういった部分を見落とさず、しっかりとケアしていくことがカラダ全体にとってプラスになると、当院では考えています。